南子：「あ、京介、京介、これってなに？」
京介：「え？ どれ？ ……う〜んカワラヒワかな」
南子：「そーなんだ。どんな字書くの？」
神崎：「河原鶸」
南子：「ふーん。どんな鳥なの？」
京介：「え、えーと、……」
曽根：「あーもう、うるせぇな！ 筆者かてめぇは！」
神崎：「筆者はあまり他人には聞かない。その代わりにやたらと辞書を引く」
京介：「必ず一日一度は百科事典か広辞苑を開くのは凄いと思う」
曽根：「そーか？ 雑学ばかり詳しくなっても役に立たねえぞ」
神崎：「それに所詮はトリ。３日たつと忘れている。現に『膠原病』の項目を既に三度も調べているが、もう忘れている」
曽根：「ようするに馬鹿なんだな」
京介：（苦笑）
神崎：「ところでパソコンで百科事典が見られるようになったのは非常にありがたい。紙だと項目を探すのも大変だがパソコンなら全文検索も簡単にできる。おまけに音楽や動画まで付いている」
京介：「でも百科事典って高いから」
神崎：「内容を考えれば安いんだが……。世界大百科事典や日本大百科全書のように本にして全二十数冊分の情報が１セットになっているとなれば、高くなるのは仕方ないぞ」
沢：「エンカルタ百科事典なら手頃だよー」
神崎：「それは認める」
曽根：「あん？ お前アンチＭＳじゃなかったっけ？ エンカルタってマイクロソフトだぜ」
神崎：「俺は満足できない物が嫌いなだけだ。エンカルタ百科事典は見やすく扱いやすい。画像、動画、音楽などが本文に埋め込んであるから利用しやすいし、十分満足できる代物だ。項目数がもう少し多ければ言うことはない。同じエンカルタでも百科地球儀のほうは嫌いだ。IE のセキュリティレベルを高くすると、とたんに機能が低下するようなソフトに興味はない」
南子：「項目数……えーこれで少ないぃ？ エンカルタ百科事典2000だと３万弱ぐらいあるんでしょ？」
神崎：「日本大百科全書なら一桁違ったはずだ。世界大百科事典は日本大百科全書ほどの項目数は無かったように記憶しているが、その代わり項目一つ一つの内容は濃い。俺は専ら世界大百科事典を利用している。エンカルタも時々使うが、あくまで補助だ」
沢：「でも扱いにくいもん、世界大百科事典」
神崎：「そうかな？ 俺は許容範囲内だと思っている。ただしハイパーリンク機能だけは除く」
京介：「使いづらい？」
神崎：「クリック一発で他の項目にジャンプするのは便利だが、その時に本文表示が拡大されるのはいただけない。画面左の検索入力欄が隠れてしまう。ついでにいうと印刷機能も変な仕組みではある。本文の所にある「印刷」を押すと、そのページだけが印刷される。項目全体を印刷しようと思ったらファイルメニューの中の「印刷」を選ばなければならない。これは分かりにくい」
京介：「じゃあ日本大百科全書がいいのかな……」
神崎：「――なんだ、百科事典を買うのか？」
京介：「え？ うん、親が欲しいって。僕もあったら便利だと思うし」
神崎：「日本大百科全書は悪くはないが、気になることがいくつかある」
京介：「例えば？」
神崎：「仮想ＣＤで使えない。何度か試したが使えた事がない。インストールディスクを仮想化してそこからインストールしても物理ドライブを読みに行く」
曽根：「お前な、ふつーの奴はそんな事しねーよ」
神崎：「ハードディスクの容量が爆発しているのをいい事に、３０ギガだの４０ギガだの積んでいる奴が言う台詞とも思えんな。大容量ハードディスクの利用法として百科事典の仮想ＣＤ化は妥当だと思うが」
京介：「たぶん仮想ＣＤでは使わないと思う。よく使うのなら考えるけど、そんなに使うかなぁ」
南子：「他の『気になること』ってなになに？」
神崎：「些細なことだ。以前使ったときはプロアトラス９８と共存できなかった。両方インストールすると共倒れする」
曽根：「おいおい、それが些細なことか？」
神崎：「京介はプロアトラス９８を持っていないから、些細なことだ」
南子：「他には他には？」
神崎：「サムネイルをハードディスクにインストールすると無茶苦茶な時間がかかる事。１つのフォルダに何千ものサムネイルファイルを入れるからだろうが」
曽根：「何千個もファイル入れりゃ、そら動きも悪くなるわな」
京介：「あんまり関係ないかな。内容自体はどうなの？」
神崎：「使い勝手は可もなく不可もなく。CD-ROM の枚数が多いが本文データを全ての CD-ROM に入れてあるからあまり頻繁に交換する必要はない。項目数と内容量のバランスもいい」
京介：「それなら日本大百科全書にしよう」
神崎：「そうそう、複数の百科事典を見比べると面白いぞ。例えば『アドルフ・ヒトラー』をさっきの３つの百科事典で引くと、評価からして随分違う」
沢：「J.F.ケネディ暗殺事件も扱いが違うもんね。エンカルタだとオズワルド単独犯説をそのまま載せてるもん」
神崎：「日本大百科全書はそのままずばりケネディ暗殺事件という項目があって、暗殺疑惑についていろいろ書いている」
南子：「神崎推薦の世界大百科事典はどーなの？」
神崎：「触れていない」
南子：「ありゃ」
神崎：「俺も期待したんだが」
曽根：「ふつーの奴はそんな事見ねーよ」